筋肉の合成を促すビタミンDの効果とは?【さらに骨も強くする】

筋肉の合成を促すビタミンDの効果とは?【さらに骨も強くする】

[chat face=”man1″ name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]ビタミンDとは?

ビタミンDの効果

ビタミンDの影響[/chat]

上記について掘り下げていこうと思います。

結論

ビタミンDは脂溶性ビタミンでD2~D7の6種類あるが、D4~D7は食品にほとんど含まれていないことから、主にD2とD3がメイン

  • ビタミンD2 → キノコ類に多く含まれる
  • ビタミンD3 → 魚肉および魚類肝臓に多く含まれる

ビタミンD3は人や哺乳類の皮膚に前駆体が存在しているため、日光の紫外線を浴びることで生成される

ビタミンDの効果

  • カルシウムの働きに関与して骨を強くする
  • mTORシグナル伝達経路に働き筋肉の合成を促す

この記事を読むことで、ビタミンDと筋肉の関係が分かります。

ビタミンDについて

ビタミンDについて

ビタミンDには『D2~D7』の6種類ありますが、『D4~D7』は食品にほとんど含まれておらず、さらには活性が低いため大まかには2種類になります。

  • ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)
  • ビタミンD3(コレカルシフェロール)

ビタミンDの供給源は2つあり、『日光の紫外線から生成』と『食品から摂取』になります。

日光の紫外線から生成

ビタミンDの前駆体が人を含む哺乳類の皮膚に存在し、日光の紫外線や体温による熱異性化によりビタミンDが生成されます。

ビタミンD2

プロビタミンD2(エルゴステロール) → 日光の紫外線 → プレビタミンD2(ビオステロール) → 体温による熱異性化 → ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)

ビタミンD3

プロビタミンD3(7-デヒドロコレステロール、プロカルシフェロール) → 日光の紫外線 → プレビタミンD3(プレカルシフェロール) → 体温による熱異性化 → ビタミンD3(コレカルシフェロール)

食品から摂取

ビタミンDを多く含む食品

  • キノコ類に含まれる → ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)
  • 魚肉および魚類肝臓 → ビタミンD3(コレカルシフェロール)

ビタミンDの効果

ビタミンDの効果

ビタミンの1種であり、脂溶性ビタミンである『ビタミンD』。

身体にとって必須栄養素であり、その他にもいい効果をもたらしてくれます。

  • カルシウムの働きに関与して骨を丈夫にしてくれる
  • mTORシグナル伝達経路に働き筋肉の合成を促す

それぞれ見ていきましょう。

カルシウムの働きに関与して骨を丈夫にしてくれる

ビタミンDは身体の骨を強くする作用があります。

なぜなら、ビタミンD依存性タンパク質の働きを介して、腸管や肝臓でカルシウムとリンの吸収を促進してくれるからです。

『カルシウムはわかるけどリンの働きって?』と思うかもしれませんが、骨を強くするにはリンが必要なのです。

そもそも骨とは、コラーゲンを中心としたタンパク質の枠組みの上に、『リン酸カルシウム』が沈着(石灰化)して作られます。

リン酸カルシウム=『カルシウム』+『リン』となるので、骨を強くするにはカルシウムとリンの両方が必要になるのです。

そのカルシウムとリンの吸収を促進してくれるので、ビタミンDは骨を強くする作用があるという訳です。

mTORシグナル伝達経路に働き筋肉の合成を促す

そして、ビタミンDのもう1つの効果は最近になってわかったことですが、筋肉を増やしてくれることです。

これは、ビタミンDが『mTOR』と呼ばれるシグナル伝達経路に働くことで活性化させ、その下流にあるタンパク合成酵素がリン酸化することで、タンパク質の合成が増えるからです。

専門用語が多すぎて難しいですね…簡単にいえば、ビタミンDがタンパク質を作れと指令を出すところにはっぱかけて、それを聞いたタンパク質を作る工場がめっちゃ働くみたいなことです。

ビタミンDと筋肉に関して次のような研究もあります。

マウスを用いた研究で、『筋肉細胞のビタミンD受容体を欠損したマウスは、通常の体型ではあるものの、筋肉量が少なく脂肪量が多い』ことがわかったのです。※1

ビタミンDは筋肉を増やしてくれる効果があるので、筋トレ後にプロテインと一緒に摂るとより効果的です。

https://kintoremuscle.com/%e7%ad%8b%e3%83%88%e3%83%ac%e3%81%a8%e4%ba%9c%e9%89%9b%e3%81%ae%e9%96%a2%e4%bf%82%e6%80%a7%e3%80%90%e4%ba%9c%e9%89%9b%e4%b8%8d%e8%b6%b3%e3%81%af%e7%ad%8b%e8%82%89%e5%90%88%e6%88%90%e3%81%ab%e5%bd%b1/

『mTOR』について

mTORについて少し記述します。

mTORとは『mammalian Target Of Rapamycin』の頭文字を取って名前がつけられています。

  • mammalianは『哺乳類』
  • Rapamycinは『抗生物質の1つ』

もともとは、抗生物質の標的として発見されたためこのような名前がついています。

mTORの役割

DNAの転写・翻訳や成長因子、細胞のエネルギー、酸化還元状態など様々な細胞内外の環境情報を統合し、細胞の成長を主に調節していく『シグナル伝達経路』

mTORの活性は、下流にあるタンパク合成酵素(p70s6kや4E-BP1)がリン酸化することでタンパク質の合成が増えるのです。

ビタミンDが多く含まれている食品

ビタミンDが多く含まれている食品

ビタミンDの前駆体が皮膚に存在しているため日光の紫外線を浴びることでビタミンDを生成できますが、仕事などで忙しかったり室内での仕事だと日光を浴びることが難しい場合があります。

そのときは、ビタミンDが多く含まれている食品を摂ることが手っ取り早いです。

上記でも紹介したようにビタミンD2はキノコ類に多く含まれ、ビタミンD3は魚肉および魚類肝臓に多く含まれます。

ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)
  • きくらげ
  • 本しめじ
  • しいたけなど
ビタミンD3(コレカルシフェロール)
  • イワシ
  • あんこう
  • ニシン
  • サケなど

ビタミンD:含有量Top10

順位 食品名 成分量 100gあたり(μg)
1 きのこ類/(きくらげ類)/あらげきくらげ/乾 128.5
2 魚介類/(かつお類)/加工品/塩辛 120.0
3 魚介類/あんこう/きも、生 110.0
4 きのこ類/(きくらげ類)/きくらげ/乾 85.4
5 魚介類/うまづらはぎ/味付け開き干し 69.0
6 魚介類/(いわし類)/しらす干し/半乾燥品 61.0
7 魚介類/いかなご/煮干し 54.0
8 魚介類/(いわし類)/みりん干し/まいわし 53.0
9 魚介類/(いわし類)/まいわし/丸干し 50.0
9 魚介類/にしん/身欠きにしん 50.0
9 魚介類/(いわし類)/たたみいわし 50.0

文部科学省 食品データベース 食品ランキング(ビタミンD)

ビタミンDは多過ぎても少な過ぎても身体に悪影響

ビタミンDは多過ぎても少な過ぎても身体に悪影響

ビタミンDは多過ぎても少な過ぎても身体に悪影響を与えてしまいます。

[box05 title=”ビタミンD過剰で起こる影響”]

  • 高カルシウム血症
  • 腎障害
  • 軟組織の石灰化[/box05]

[box04 title=”ビタミンD欠乏で起こる影響”]

  • 石灰化障害

→小児では『くる病』

→成人では『骨軟化症』

※軽度の不足であっても腸管からのカルシウム吸収の低下と、腎臓でのカルシウム再吸収が低下し低カルシウム血症となる。これに伴い、二次性副甲状腺機能亢進症が惹起され、骨吸収が亢進し、骨粗鬆症及び骨折のリスクとなる。[/box04]

ビタミンDの摂取量と日照時間の目安

ビタミンDの摂取量と日照時間の目安

ビタミンDをどれくらい摂ればいいのかの目安と日照時間の目安を紹介します。

ビタミンDの食事摂取基準(μg/日)

性別 男性 女性
年齢等 目安量 耐用上限量 目安量 耐用上限量
18~29(歳) 8.5 100 8.5 100
30~49(歳) 8.5 100 8.5 100
50~64(歳) 8.5 100 8.5 100
65~74(歳) 8.5 100 8.5 100
75以上(歳) 8.5 100 8.5 100
妊婦 8.5
授乳婦 8.5

※日照により皮膚でビタミンDが産生されることを踏まえ、フレイル予防を図る者はもとより、全年齢区分に通じて、日常生活において可能な範囲内での適度な日光浴を心掛けるとともに、ビタミンDの摂取については、日照時間を考慮に入れることが重要である。

日本人摂取基準(2020年版) 『日本人摂取基準』策定検討会報告書

5.5μgのビタミンD量を産生するために必要な日照曝露時間(分)

測定地点(緯度) 7月 12月
9時 12時 15時 9時 12時 15時
札幌(北緯43度) 7.4 4.6 13.3 497.4 76.4 2,741.7
つくば(北緯36度) 5.9 3.5 10.1 106.0 22.4 271.3
那覇(北緯26度) 8.8 2.9 5.3 78.0 7.5 17.0

※国内3地域(札幌・つくば・那覇)において、顔と両手を露出した状況で5.5μgのビタミンD3を産生するのに必要な日照への曝露時間

日本人摂取基準(2020年版) 『日本人摂取基準』策定検討会報告書

まとめ:筋トレに欠かせないビタミンD

これまでをまとめましょう。

  • ビタミンDにはD2~D7の6種類あるが、D4~D7は食品にほぼ含まれず活性も低いためD2とD3がメイン
  • ビタミンD3は前駆体が皮膚にあるため、日光の紫外線を浴びると生成できる
  • ビタミンD2 → キノコ類に多く含まれる
  • ビタミンD3 → 魚肉および魚類肝臓に多く含まれる

ビタミンDの効果

  • カルシウムの働きに関与して骨を強くしてくれる
  • mTORシグナル伝達経路働き筋肉の合成を促す

ビタミンDは骨を強くしてくれるだけではなく、筋肉を増やしてくれる効果もあるので筋トレに欠かせないビタミンになります。

筋トレ後にプロテインと一緒に摂ると効果的ですね。

そして、ビタミンD3は日光の紫外線に浴びることにより生成されるとは驚きですね。

紫外線によるダメージが気になり、日光をあまり浴びないほうがいいと思っていましたが、まったく浴びないのも悪いとは…。

日中、外に出ない人はビタミンDを含む食品を食べて補給してください。

参考文献

アスリートのための最新栄養学(上) 山本義徳

日本人摂取基準(2020年版) 『日本人摂取基準』策定検討会報告書

※1 Mice with myocyte deletion of vitamin D receptor have sarcopenia and impaired muscle function

 

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